Starts 6:30 pmEnds 8:00 pmVenueAlserkal Arts FoundationWarehouse 50/51 8週間の滞在のうち、一般に向けた公開プログラムを行います。岩井が着目したUAEにおける「エネルギー」と「浄化」の関係性を探ります。Alserkal Avenueに本拠をかまえるダンスカンパニー・Cimaから Rei Co と Mohiを迎え、プラクティスを通して参加者と共にリサーチを行います。 Alserkal Arts Foundation イベントページ
出品作家: 水木塁、澤田華、多和田有希、永田康祐、岩井優 執筆・編集: 遠藤みゆき(東京都写真美術館学芸員)デザイン: 畑ユリエ発 行: 東京都写真美術館発行年: 2022年9月サイズ: 188mm×247mm仕 様: ハードカバー日英併記2,530円(税込) 購入サイト >> ナディフ・オンライン
9月2日から12月11日まで東京都写真美術館で開催される「見るは触れる 日本の新進作家vol.19」に参加します。2年前の個展をベースにヨコトリ2020での映像を加えて発展させたものになります。 9月17日(土)14:00から東京都写真美術館2Fロビーにてアーティスト・トークを行います。時間は1時間程度で前半は作品の説明、後半は質疑応答になる予定です。 東京都写真美術館 https://topmuseum.jp/contents/exhibition/index-4282.html 開催期間:2022年9月2日(金)~12月11日(日) 休館日:毎週月曜日(月曜日が祝休日の場合は開館し、翌平日休館) 料金:一般 700(560)円/学生 560(440)円/中高生・65歳以上 350(280)円 ※( )は当館の映画鑑賞券ご提示者、年間パスポートご提示者(同伴者1名まで)、各種カード会員割引料金。各種割引の詳細はご利用案内をご参照ください。各種割引の併用はできません。 ※小学生以下、都内在住・在学の中学生および障害者手帳をお持ちの方とその介護者(2名まで)年間パスポートご提示者(企画展4回まで)は無料。
日本建築学会が発行するウェブマガジン「建築討論」に岩井のインタビューが掲載されました。2022年7月号の特集は「清掃のハードコア」。建築にまつわる清掃を軸にさまざまな角度から清掃についての考察・討議が掲載されています。 建築討論https://medium.com/kenchikutouron 特集:清掃のハードコアhttps://medium.com/kenchikutouron/065-202207-特集-清掃のハードコア-f6d6f69cd887 インタビュー:岩井優https://medium.com/kenchikutouron/めくるめく清掃の血肉化-4203a08373da
2021年12月から2022年2月まで府中市美術館の公開制作プログラムで展開していた「How to cleanup the museum」の記録リーフレットが府中市美術館から発行されました。リーフレットは美術図書室と公開制作室前で一般に公開され、ミュージアムショップで販売もされています。 日英併記定価50円三つ折りA4仕上テキスト:神山亮子、岩井優撮影:赤羽祐樹、岩井優翻訳:Pamela Miki編集・発行:府中市美術館
【公式】府中市美術館公開制作#83岩井優 キックオフトーク「ハウツー『ハウツー・クリーンアップ・ザ・ミュージアム』」12⽉18 ⽇(⼟)14:00〜 制作公開 12:00〜17:00(下記以外にも公開制作している場合があります) 12月18日(土)、19 ⽇(日)、26日(日) 1⽉16日(日)、22 ⽇(⼟)、29 ⽇(⼟)、30日(日) 2 ⽉12 ⽇(⼟)、13⽇(日)、17日(木)、18日(金) 今回の公開制作+展示は同時に進めていきます。公開制作中もアーティスト不在中も展示期間とします。進行ごとに展示は変わりますが日々変化するプロセスをお楽しみ下さい。 アーティストトーク2⽉23⽇(水・祝)14:00〜講座室 無料 予約不要・当⽇直接会場へ 随時参加者募集! 今回ぼくは公開制作において、府中市美術館の清掃と歴史にフォーカスした3つの作品制作をおこなっています。 1つめの作品は美術館の清掃行為をもとに想像的/創造的に《美術館清掃のためのハウツービデオ》を撮影・制作します。例えば踊りながら床を掃除していたり、アイマスクをしながら学芸員室を掃除、歌いながら展示会場の掃除、サッカーボールを転がしながらロビーの掃除…などです。通常の清掃に加えて、架空の清掃を混ぜたハウツービデオになる予定です。清掃/撮影場所は美術館内のさまざまな場所を想定しており、展覧会場、搬入口、ボイラー室や会議室なども候補に入れています(現在交渉中)。 2つめの作品は美術館のジオラマ制作を使った映像作品です。約1/32スケールの美術館を作り、それを清掃員の方に清掃してもらいます。壊れやすい建物の模型を使った映像制作は特撮でよく使われる技術です。《清掃行為を通して破壊》につながるような映像になるのではないかと思います。とはいえ、ぼくはジオラマの制作経験はないので、試行錯誤をしながらジオラマを作っていきます。 3つめの作品は開館丸21年を迎えた府中市美術館のなかで、いまだ手付かずの場所を探し出します。つまり誰もまだ掃除をしたことのない場所を職員の方々へのインタビューを通して見つけ出し、美術館にとっては「あるまじき汚れ」(ホコリか?油汚れか?別のものか?)をピックアップする予定です。この探索を通して、美術館の歴史や構造、機能を知り、考えたいと思います。※ピックアップする場所は危険が伴う可能性があるため原則立ち入りできません。 さて上記のそれぞれのプロジェクトをおこなっていく上で、2ヶ月半はあまり長くはありません。1つめの作品では出演してくださる方を広く募集しています。2つめの作品では立体物の制作が得意な方、3つめは美術館の建物や歴史に興味のある方、一緒にインタビューに参加していただけたら幸いです。具体的な日程・協力内容は個別にお知らせします。 ※下記に公開制作のスケジュールをGoogleカレンダーで埋め込んでいますが、うまく表示されない場合はブラウザを変えてみて下さい。
https://yokohama.art.museum/event/index/data-765.html 学芸員やエデュケーター(教育普及担当)が横浜市内18区の文化施設などを訪れて、レクチャーや体験講座を行う「横浜[出前]美術館」。 今回は、西区にある横浜市民ギャラリーで、岩井優トーク「かたづけたいけど、ちらかしたい。」を開催します。 岩井優は、70名を超える参加者と共に、紙袋型のマスクを被り、自宅や公共空間、美術館で清掃をおこない、汚れやその境界について話し合う参加型アクション《彗星たち》を「ヨコハマトリエンナーレ2020」で発表し、注目されたアーティストです。今回のトークでは、作品や撮影にまつわる資料、セットと共に、制作の舞台裏やエピソードをご紹介します。また、岩井が1年間毎日屋外を清掃し記録し続けた映像作品《Brooming (365sec.)》の完成披露上映をおこないます。これまでに横浜市民ギャラリーや横浜美術館で発表した作品が共有する背景や、作家の問題意識についてじっくりとお話をうかがいましょう。 日程 2021年12月4日(土)時間 14時~16時講師 岩井優(アーティスト)会場 横浜市民ギャラリー アトリエ定員 20名(事前申込、抽選)参加費 無料申込方法 必要事項(①希望の講座名 ②氏名[ふりがな] ③年齢 ④郵便番号・住所 ⑤電話番号)を明記の上、<往復はがき><ホームページの申込フォーム><直接来館>のいずれかで横浜市民ギャラリー(〒220-0031横浜市西区宮崎町26-1)まで申し込み。詳細・申込みはこちら申込締切2021年11月20日(土)必着お問合せ横浜市民ギャラリーTEL:045-315-2828主催 横浜市民ギャラリー、横浜美術館
ヨコハマトリエンナーレ2020「AFTERGLOW-光の破片をつかまえる」の公式カタログ(和英別冊)を、4月1日(木)より発売。冊子版に加えて、本展では初めて電子版公式カタログも発行されました。 公式カタログ情報ページhttps://www.yokohamatriennale.jp/news/2021/03/catalog.html ■冊子版:購入はこちら※横浜美術館オンラインショップページが開きます。 2021年4月1日販売開始。価格:2,420円(税込・送料別)判型:B5変形(W190xH260mm)総頁:日本語版252頁、英語版256頁【注意事項】・冊子版は、横浜美術館オンラインショップのみの販売です。・送料はお客様のご負担となり、地域により異なります。詳細はこちら・横浜美術館ミュージアムショップは閉店中です。(横浜美術館休館中のため)・書店等での取扱いはございません。 ■電子版:日本語版Amazon Kindleはこちら ※※Amazon Kindle ストアページが開きます。価格:日本語版1,250円(税込)■英語版はこちら。※現在無料公開中
Broomingのドグマ マスク着用 半径1m 365秒 365日 1年で24時間を記録する 屋外公共スペースのみ 同じ場所を掃除しない 動画をYoutubeに保存する ※東京でCOVID-19の非常事態宣言が解除された翌朝、日の出時刻からBrooming(ほうきがけ)を始めました。 毎日4分(5月から3月まで月末のみ2分)ずらして行い、時間と場所を変えていきます。
https://www.yokohamatriennale.jp/2020 エピソード06 岩井優《彗星たち》
ヨコハマトリエンナーレ2020における《彗星たち》への取材があり、インタビューに答えました。まだワークショップなどのセッションの初期段階での感想を述べました。”Masaru Iwai’s online-offline project ‘Broom Stars’ focuses on issues of cleansing”とのタイトルで記事化され、どなたでもお読みいただけます(英語のみ)。 https://www.stirworld.com/see-features-masaru-iwai-s-online-offline-project-broom-stars-focuses-on-issues-of-cleansing
Takuro Someya Contemporary Artは9月5日(土)から10月10日(土)まで、岩井優の個展「Control Diaries」を開催いたします。TSCAでの岩井優個展は、2017年の個展「親密な遠近法」以来、3年ぶりの個展となります。 本展覧会では、映像インスタレーションを中心に、ペインティングと、岩井が関わった除染作業を記録し続けた80点の写真作品などが並びます。 展覧会概要「岩井優|コントロール・ダイアリーズ」会期:2020年9月5日(土)~10月10日(土)開廊:火曜~土曜 12:00 – 18:00(*時間を短縮して開廊しています。変更になる可能性があるのでウェブサイトにてご確認ください。)休廊:日曜・月曜・祝日会場:Takuro Someya Contemporary Art〒140-0002 東京都品川区東品川1-33-10 TERRADA Art Complex 3F TSCA TEL 03-6712-9887 |FAX 03-4578-0318 |E-MAIL: gallery@tsca.jp Masaru Iwai |…
2017年に編集を開始したアーティスト・ブックの第一弾がread only(リードオンリー)から出版されました。大きな判型を縦にしたり横にしたり、各作品ごとに制作過程のドローイングなどを掲載したポスター(4枚)を広げたり畳んだりして下さい。もちろん執筆陣(石倉敏明さん、中島那奈子さん、ニーナ・ホリサキ=クリステインさん)の熱気あるテキストは必読です。同様に編集・田尾圭一郎さんが熱心にほどこした校正にも圧倒されます。そして何より、これまでずっと伴走してきてくれ、アートディレクションを担当し、今回の出版にまで導いてくれた大西真平(アートディレクション/発行)の情熱たるや…脱帽です。 そんな熱を掛け合わせたような赤い表紙を見かけた方は、ぜひご購入を! ///////////////////////////////////////////////////////////////// 公式オンラインストア read only https://readonlybook.thebase.in/items/ 岩手 BOOKNERD http://booknerd.jp 仙台 KANEIRI Museum Shop 6 https://www.smt.jp/smt/facilities/f1/shop.html 東京 on Sundays http://www.watarium.co.jp/onsundays/html 代官山 蔦屋書店 https://store.tsite.jp/daikanyama/ 銀座 蔦屋書店 https://store.tsite.jp/ginza/ nostos books https://nostos.jp NADiff a/p/a/r/t http://www.nadiff.com/ 横浜美術館ミュージアムショップ https://yokohama.art.museum/shop/ 藝大アートプラザ https://artplaza.geidai.ac.jp 神奈川…
https://www.nca-g.com/exhibition/2020/identity_xvi_-_my_home_curated_by_kenichi_kondo/ 会場:nca | nichido contemporary art会期:2020年8月21日(金)-9月26日(土)営業時間:火 – 土 11:00 – 19:00 (日・月・祝 休廊)出展アーティスト: ターレク・アル・グセイン | 岩井 優 | 金城 徹 | キュンチョメ | リム・ソクチャンリナ バスィール・マフムード| 村上 慧 キュレーター: 近藤 健一レセプション:8月21日(金)18:00 – 20:00*オープニングトーク…
執筆:池田直子、岩井優、土屋貴哉、福地真理子、古川茂編集・デザイン:石丸圭汰、池田直子、岩井優、江頭南有、嵯峨昌紀発行:佐賀現代美術研究会2019 《マスク・フロム・ザ・スカイ》
《ダンシング・クレンジング ”クラブ”、小金井・東京》活動考察制作:特定非営利活動法人アートフル・アクション図書設計:松田洋一発行:アーツカウンシル東京2018 アートフルアクション記録集紹介PDF download 《ダンシング・クレンジング ”クラブ”、小金井・東京》
2チャンネル・シンクロ4Kビデオ、サウンド10’34”タイ2017 タイでの滞在制作。ミャンマーとの国境近くの町バーン・ノーン。ここにはミャンマー労働者が合法・不法を問わず数多く働いている(ゆえにシルエットは個人を特定できない)。バイクを運転することは違法なのだけど、彼/彼女らからバイクを取り上げると生活ができなくなる。タイで働いた給料で買ったピカピカのバイクを誇らしく乗っている彼らがとても印象的だった。寺院の集会スペースで洗車と撮影。現地のタイ人コーディネーターから「もっと洗って」「もっと丁寧に」といった指示がとぶ。そんな指示の中で彼女の話とか、雑談しながらバイクを洗う姿は、普段から工場でタイ人の上司から指示されて作業する彼らの姿と重なった。 個展《親密の遠近法》インスタレーション風景 写真・加藤健
2チャンネル4Kビデオ、サウンドポートレイト:5’55″(loop)、メイキング:5’55”(loop)マスク:φ30cm、磁器、屋上で集めた素材、8枚佐賀2018 2016年から3年間、毎年2、3週間佐賀市に滞在し、リサーチ、プランニング、制作過程をギャラリー内で公開した。初年度はギャラリー内にテントを建てて住み、佐賀市のリサーチや、来場者からもたらされる情報をもとにプランを練っていった。古い農機具に付いていた土ぼこりや、都市問題となっていた鳥(主にカラス、シラサギ)の糞を洗って集めていった。そして翌年、それら集めたものを試験的に釉薬に使ってみると、思いの外しっかりと定着。近くに有名な陶磁器の生産地がいくつもあり、かつて居間に飾られていたという陶磁器製の仮面や、九州北部の仮面を用いた祭りなどから、仮面のような皿のようなものを陶芸家の協力をえて制作した。さらに次の年、市民のアンケートから博物館の屋上が汚れている、という情報をもとにリサーチし、他に図書館、新聞社、映画館の屋上で汚れを収集していった。鳥が落としていった羽や、どこからか飛んできたボール、自生していた植物を皿状の仮面に載せそのまま焼成。それぞれの建物で働く人にかぶってもらいポートレイトを撮影した。
不法投棄物、ワイヤー、ボルト、木、その他h6m x ø12m、h3m x ø6m、h1.5m x ø3m石巻市鮎川、宮城Reborn Art Festival2017 東日本大震災で大きな被害を受けた石巻市でのアートフェスティバル。リサーチを繰り返すたびに、同地の山にはたくさんの不法廃棄物があることが確認できた。古いものが多く、共生しているような趣もあって、アニメの世界のようにも思えた。また同時に害獣駆除されている鹿も山に棄てられているのでそれらの取材も平行しておこなった。当初「自然」という大きなキーワードを持っていたが、そのなかで山と人々(住民だけではなく)とのコミュニケーション(不法投棄もひとつのやり取り)に焦点を向けていった。同地に伝わる「失せ物絵馬」なども「やり取り」の例証だろう。 会期前から山に入り投棄物を収集。ヤマビルやマダニの生息するなかで、冷蔵庫やタイヤ、洗濯機などを引き上げていく。害獣駆除された鹿もそれらに加え、等しく1つのフレームに1つの物を吊る作業を会期終了までおこなった。標本箱の立体化のようなドームで、投棄物の観察を可能にした。
シンクロ3チャンネル・fullHDビデオ、サウンド 11’50” カンボジア、プノンペン 2012 2012年に文化交流事業の一環でカンボジアのプノンペンに3ヶ月滞在した。滞在先はSa Sa Art projectのスタジオが入っているスラム化したビルの一室。到着する前、何度も「東京の居住スペースと比較しないでくれ」と念を押される。そのホワイトビルと呼ばれる建物の前に到着したのは、もう夜更けだった。ビルの前には売春婦とポン引きがバイクにまたがってたむろしていて、その前には異臭を放つコンテナにゴミが山積みになっていた。言葉を失いつつも、暗闇のビルの中を現地アーティストを頼りに進んでいく。悪臭が鼻に付き、子どもの声やテレビの音がもれてくる。やっとたどり着いた居住スペースは10平米にも満たない小さな部屋だった。部屋の隣はこのスラムに住む生徒や学生向けのワークショップをおこなうスタジオになっていた。古い和式便所のようなトイレには大きなコンクリート製の水槽があって、そこに溜められた水で便を流したり、身体を洗う。窓は鉄製の柵がしてあるが、ガラスや網戸などはない。虫は自由に出入りできる。「ホワイトビル」という名前が冗談のように、壁や階段は長年の汚れとすすやカビなどで黒ずんでいた。 そんなスラムでの生活も徐々になれた頃、隣に住むコーヒーショップを玄関先で営むおばさんが「廊下や階段が臭くてしょうがない。ヘロイン中毒者が立ち小便や大便をするので、なんとかしてくれ」とSa Saのメンバーに相談していた。それをたまたま聞いていた僕が、手を挙げた。 掃除のプランを考えていくうち、僕がこのビルを掃除してもあまり意味がないように思え、住民たちに声をかけていくことにした。掃除のイベントだ。洗剤、ブラシ、箒、バケツを市場で用意して、人々にスケジュールを説明する。撮影はカンボジア人アーティストと僕が担当し、ホワイトビルに向き合って建つ国会関係監査省(カンボジアの中央省庁の一つ。国会議員、及びその職員の汚職払拭。 業務が公正に行われているかの監査など)からも撮影することになった。ビルの掃除当日。初めは1人、2人の参加者でどうなるのだろうと思っていたが、徐々に参加する人が増え、そのコミュニティのほとんどの家庭がなんらかのかたちで掃除に関わっていた。ホワイトビル始まって以来の大掃除は、住民たちが階下に人がいることなどお構いなしに汚水を流してしまうくらい狂躁的になっていった。長い年月のあいだ積み重なった汚れや壁の傷は消えないが、溜まっていたゴミや汚物もきれいに流され悪臭は消えた。 イベントの終了後、その近隣の人たちととても身近に接するようになった。言葉は通じないが、毎晩のように晩餐に誘われ、部屋の前の通路に椅子を出して近所の人たちと氷入りのビールを飲んでいた。そして僕自身、廊下を通るときや、ちょっと外に出る時には裸足で歩き回るようになっていた。 4年後、改めてホワイトビルを訪れる。住民たちは覚えてくれていて、またビールの宴が繰り広げられた。そこで聞いたのは、あのイベント以降、掃除をするための組織を作って、定期的にみんなで掃除するようになった、とのことだった。しかしそんなホワイトビルもデベロッパーに買い取られたらしく、近々出て行くしかないだろう、とのことだった。このスラムの周辺には中国系や日系のショッピングモールができた。屋上に上がり見渡すと、このホワイトビルだけが取り残されたように佇んでる。 2017年夏、日系企業によりホワイトビルは解体された。
シングルチャンネル・HDビデオ、サウンド 14’45” 2008 洗浄や浄化が過剰化する作用に関心を持つようになった。人によって時代によって清潔観念も変化する。あれはきれいでこれは汚い。すべて汚い。すべてきれいにする。僕たちの生活で洗浄することはとても身近な営みだけど、そこに作用している価値判断はどこからくるのだろう。テレビをつけると深夜の通販番組では「なんでも洗える!」とその特別な洗剤をけたたましく宣伝している。なんでも洗える。なんでも洗っている。見えないところで行われているいくつもの洗浄を、僕たちは想像可能なのだろうか。そんなことを思いながら、台所でコップを洗う。野菜を洗う。魚を洗う。
シングルチャンネル4Kビデオ、サウンド、横浜市民ギャラリーから排出された約半年間分のシュレッダーゴミ。セバスチャン・マティアス《x/groove space》のフッテージ11’11”2018新・今日の作家展2018 定点なき視点 僕が歩くその道は、アスファルトが敷かれ、その下には砂利などがあり、さらに下には噴火灰や大地震でできた層や、かつて海底だった年代の層が積み重なっている。僕が舞台作品に関わって制作した映像素材を基底に、いくつかの場所を訪れるたびに作業する人を重ねて撮影していった。作業台となるテレビ画面のなかには過去に撮影した作業風景が映っているが、新しく作業を撮影するごとに映像は劣化し、見えにくくなる。それぞれの作業には関連性がないけれど、僕にとっては撮影場所(だいたい展覧会や制作で訪れた)や人が関連していて、制作時における僕にまつわる層序学ともいえるドキュメントになった。発表した横浜市民ギャラリーでは、展覧会の依頼があったときからシュレッダーゴミをためておいてもらい、映像とリンクするようにそれを会場に投入した。会期が始まってからも事務所から出たシュレッダーゴミは展示場所へと運んでもらった。映像終了後、会場内の照明が3分間点灯し、来場者はシュレッダーゴミのなかで次の上映を待つ。 installation view : photo by Ken KATO special thanks: Sebastian Matthias, Jubal Battisti, Lisanne Goodhue, Deborah Hofstetter, Oskar Landstrom, Harumi Terayama, Idan Yoav, Atsuhiro…
シングルチャンネル・fullHDビデオ、サウンド 13’15” バトゥミ、ジョージア国 2014 ジョージア(グルジア)のバトゥミという港町。このエリアはトルコに近く、またロシアとのあいだで起きた南オセアチア紛争(2008)の場所からも近い。滞在してリサーチに赴くがコミュニティの強い結束が印象的だった。部外者が容易に入っていけず、僕はいつも怪しまれていた。港も山も近く新鮮な魚をえて皆で路上パーティーを開く。撮影場所はイスラム教徒とキリスト教徒が住むちょうど境界のあたりで、道路使用許可などおかまいなしだった。最初は何事かと遠巻きに見ていた人たちも、魚を焼くころには皿を持って待つ人や、ワインを持参する人、ブランデーを振る舞う人があらわれた。テーブルの周りではいくつも乾杯がくりかえされ、狂騒の中すぐに100匹の魚は人々の胃の中へ。残骸はテーブルへ。パーティーが終わるころ、僕は色んな人と抱き合っていた。そして最後には、魚を食べていたのは人間だけではなかったことに気づく。
シングルチャンネル fullHD ビデオ、 サウンド10’55”ベルリン, ドイツ2012 アーティスト・イン・レジデンスの機会をえてベルリンに三ヶ月滞在した。近代化と公衆衛生と日本との関係を取材し考察することが当初のプランだった。また地理的な特徴としてベタニアンのあるクロイツベルク地区のジェントリフィケーション(低所得者地域の再開発や改善)にも関心があった。公衆衛生が広まる過程とジェントリフィケーションが重ねて捉えられるように思ったのだった。公衆衛生という人間にとっての善と地区の改善、どちらも有用性によってはかられる。 滞在期間中、街に落ちている糞にオキシドール(過酸化水素水)やアルコールで除菌したり(衛生的アプローチ)、表面にペイント(審美的アプローチ)したりした。そのようなフィールドワークを30数ヶ所くりかえしながら、最終的には美容にまつわるアプローチで路上の糞に向き合っていた。
2015、2016年滞在制作《習慣のとりこ》記録集執筆:岩井優、長内綾子、木村絵里子、プロジェクト参加者、慶野結香編集:慶野結香、岩井優デザイン:大西真平日英翻訳:石井言絵発行:公立大学法人秋田公立美術大学2017
寄稿編集:ミライインスティチュートAD・デザイン:大西真平発行者:黒崎輝男発行:ミライインスティチュート出版2016ISBN: 978-4-908774-68-3Amazon
《ダンシング・クレンジング ”クラブ”、小金井・東京》作品映像、記録映像、生徒撮影フッテージDVD制作:岩井優記録映像制作:矢彦沢和音、高浪圭汰発行:特定非営利活動法人アートフル・アクション 《ダンシング・クレンジング ”クラブ”、小金井・東京》
プロジェクト紹介、寄稿2017発行:公立大学法人秋田公立美術大学デザイン:株式会社シービジョンズ編集:AKIBI plus事務局エッセイのみのPDF download
編集:ベンジャミン・ヤングデザイン:ロブ・カーマイケル英語発行:ホイットニー美術館ISBN: 0-87427-159-2下記サイトからPDFや電子書籍をダウンロードできます。https://archive.org 《ウォッシング・ステージ》
シングルチャンネルHDビデオ、サウンド6’30”横浜、若葉町2011CPUE 2011 ダンシング・クレンジング シリーズの3作目。横浜・若葉町で開催されたグループ展に合わせて制作した。社交ダンスは”Sociality Dancing”の訳からできた言葉で、大正時代から鶴見のダンスホールから富裕層を中心にひろがっていった娯楽だった。ソーシャルダンスという和製英語も広く国内で流通している(Social danceは言葉としてあるがBallroom danceがより近い)。その和製英語のもつ「社会とダンス」を基点としてプランニングしていった。制作時、ダンスはダンススクール以外での場所では風営法の対象でさまざまな規制がなされていた(2015年6月24日風営法改正)。また制作場所である若葉町周辺をリサーチしていたら、ある調査では150ヶ国ほどの国籍・地域出身の人たちが住んでいるという話を耳にした。にわかに信じがたく、法務省の統計を調べてみたら、全国では191ヶ国の在留外国人がいるのでまったくありえない話ではないのだろう。街の雰囲気もアジアを中心とした様々な国の看板が掲げられている。外国人アーティストや留学生、在住外国人の人とともに、100名程の参加者ととともに路上で掃除をきっかけとした「社交ダンス」をおこなった。
パフォーマンス人、木製ステージ、シャンプー、台所洗剤、食材、その他6ftx6ftx2ftThe Kitchen, ニューヨーク2013Maintenance Required
インスタレーション不定形、公園の枯葉、洗剤、保存瓶写真650mm X 890mm インクジェットドローイング約110mm x 160mm 古絵葉書にガッシュ2010 使われなくなっていた店舗をアートNPOがギャラリーに転換させた空間。そこで個展を開催した。歩いて20分ほどの場所には武蔵野公園がある。そこから公園の清掃で集まった枯葉をもらい、ギャラリーに持ち込んでいった。土ぼこりと、大きな窓ガラスから陽が射し、暖かくなった空間で日に日に発酵していく枯葉。そこで毎晩のようにイベントを繰り返した。また公園の銅像を洗ったときの写真と映像、ドローイングを同時に展示した。
シングルチャンネル・fullHDビデオ、サウンド7’35”2012
シングルチャンネル・fullHDビデオ、サウンド1’50”台北2010
不定形石膏ボード、木材、アルミサッシ、ガラス、玄関ドアモンネポルト(長崎県波佐見町)2009 磁器や陶器の製産地で有名な長崎県・波佐見町にある旧製陶工場だったギャラリーでの個展。その空間に1軒の家を建て、磨いていく様子を撮影し、その状況を来場者に見てもらっていた。大量の粉が舞い、僕は防じんマスクと作業用の防護服、ゴーグルを着けて日々作業していた。来場者にはマスクが手渡され、廃虚のような空間を眺めていた。
作品紹介、カラーグラビア、10p著者:小川希2011発行:公益財団法人東京都歴史文化財団 東京文化発信プロジェクト室デザイン:原田光丞編集:足立桃子、牛久珠理アートプロジェクトの0123書籍紹介PDF download
西野達氏へのインタビュー構成:山内宏泰撮影:森栄喜2009発行:美術出版社Amazon
ラムダプリント粘着ロール紙で集めたホコリ、木製パネルテヘラン、イラン2007 イランの首都テヘランでの滞在制作。家々を訪れ、カーペットの汚れを日本から持参したカーペットクリーナー(粘着テープローラー)を使い掃除していった。あまりそのような道具を使わないのか、これを使って掃除したいというと少し不思議がられた。またある人には「うちは毎日掃除機かけているから汚れていない」といわれたりもしたが、クリーナーをころがしてみると毛やホコリなどが付着し、驚いている人もいた(まるで訪問販売員のようだ…)。その粘着テープの表面に付着したホコリは、カーペットによってそれぞれ異なる。すこし赤みがかったもの、黄色いもの。土足の家では当然土ぼこりが付着する。それら出会った人々の家のカーペットの表面を繋ぎ合わせ「みんなのカーペット」をつくった。
2チャンネルシンクロHDビデオ、サウンド小金井10’20″2013 ダンシング・クレンジング・シリーズ4作目。小学校でのアーティストを入れての美術活動。日本の学校では「クラブ活動」が盛んだが、もちろんナイトクラブのクラブではなく、部活動のクラブだ。そして毎日の清掃活動も僕が小学校の時と変わらない。清掃は学校でのディシプリンとして強く作用しているように思う。海外の学校で清掃を生徒たちがおこなうのは稀なようだ。何度かのセッションをおこなって、野外で泡を使ったパフォーマンスで映像は締めくくった。その際、生徒たちにもカメラを持ってもらい、撮影してもらった。みんな学校内の撮影では見せなかった表情で、泡まみれになるもの、それを撮るもの、その状況を遠巻きに見る生徒たちが興味深かった。